ミッドナイト・ファミリー

ルーク・ローレンツェン、メキシコ、メキシコ年
スペイン語
81分
日本語
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ルーク・ローレンツェン、メキシコ、メキシコ年

メキシコ・シティでは、人口900万人に対し、行政が運営する救急車は45台にも満たない。そのため、専門訓練もほとんどなく、認可も得ていない営利目的の救急隊という闇ビジネスが生まれている。オチョア家族もその一つだ。

スペイン語
81分
日本語

同業者と競い合って、緊急患者を搬送する毎日。この熾烈なビジネスで日銭を稼ごうと奮闘するオチョア家だが、現実はそう甘くない。腐敗した警察による取り締まりが、さらに家族を窮地へと追いやっていく。

「ミッドナイト・ファミリー」は、倫理的に疑問視されるオチョア家の稼業を、人間味あふれる視点で捉えつつ、メキシコの医療事情、行政機能の停滞、自己責任の複雑さといった差し迫った課題を私たちに突きつける。

メイキング・オブ・『ミッドナイト・ファミリー』

ルーク・ローレンツェンは、若い監督であり、持ち前の人間味豊かな感性で映画製作と彼が撮影した人々について語ってくれた。多作でもあり、例えば、受賞歴のある『Santa Cruz del Islote(イスロテ島)』など根強い人気を誇るドキュメンタリー映画3作品があり、Netflixでも大ヒットした『Last Chance U(ラストチャンス)』の製作にも関わっている。最新作は、メキシコシティで民間救急車を走らせ生計を立てる家族に密着した、スピード感あふれる長編ドキュメンタリー映画『ミッドナイト・ファミリー』だ。4年をかけて製作された本作品は、目撃者として現場に立ち会い撮影に挑んだ秀逸なドキュメンタリーである。ある家族の桁外れな生活に深く入り込み、臨場感と高いドラマ性によって、彼らへの強い共感を呼ぶ作品となっている。MadeGood Filmsは、監督ルーク・ローレンツェンに直接インタビューを行い、この映画が生まれた背景から、低予算の制作で成功を収めた裏話まで聞くことができた。質問は多岐にわたる―ドキュメンタリー映画の製作にあたり、人間関係、倫理観、物語の構成、芸術性の追求と資金調達などのバランスをどのように取っているのか? カメラを向ける対象への誠実さとは? 彼らの不安定な生活を撮ることについて躊躇はあったのか? これらの質問には、根本的な人間的良識が大きく関係している。また、このインタビューはメキシコの首都で実際に起こっている尋常でないギリギリの救急医療事情を知る貴重な機会となった。

「2015年末頃、大学を卒業してすぐにメキシコシティへ行きました。」とルークは話し始めた。「大学でルームメイトだった友人がメキシコシティ出身で、彼が帰国するのについて行ったんです。成り行きというか、試しに撮影してみようと思っていた映画のアイデアはいくつかありましたが、まだ映画製作者としては駆け出しで確固とした計画はありませんでした。」

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ルークがメキシコで住んだアパートの近くには総合病院があった。この市立病院は常に過密状態で、病気や怪我をしたチランゴ(メキシコシティ在住者の俗称)たちが毎日長い列をなしていた。感情的なレベルでその状況を「無視することは不可能」だったとルークは言う。果てしない悲惨な状況の中で、命を救うべく走りまわり働いていたのは70から80台そこらの民間救急車だった。多くが闇営業で限られた装備しか持たず、救命搬送と引き換えに患者が支払う代金に依存している彼らだが、民間救急車の存在はメキシコシティの人々にとって間違いなく命の綱だ。一方、わいろや規制により脅しをかける警察が普通に存在するような不正はびこる市場でもあるため、民間救急隊は「海賊」や「寄生虫」と言い表されることもある。この現象の発端は、1985年のメキシコ地震後に北米・中米から救急車が流入したことにあると言われている。今日において、この“闇”救急救命事業は世界でも最大規模の最も混沌とした医療システムの必要悪となっている。

メキシコに移住した時点で、ルークは民間救急車についてまだほとんど知らなかったのだが、ある時、アパートの外で洗車をしていた2人の少年に興味を持ち話しかけた。彼らはホアンとホセの兄弟、そして父親のフェル・オチョア。「本当に彼らからはたくさんのことを学びました。」とルークは言う。「私は、病院到着前の処置やメキシコの緊急医療システムのことを何も知りませんでした。そこに住んでいる人でさえ知らないような事情もありました。オチョア家族の夜間の仕事に同行することができ、その最初の夜に、まさに撮ったばかりの映像を見てみたんです。そこには、この仕事で生計を立てる家族と助けを求める患者との間にある緊迫感がくっきりと映し出されていました。金銭によって命に係わる決断が左右される複雑な事情には本当に心が痛むけれど、この問題について探求したいと思ったし、もっとオチョア家族のことを知りたいという興味がありました。彼らの仕事は私の常識を超えていたのです。」

2016年、ルークは数週間の撮影の間にも驚くべき状況に何度か遭遇している。オチョア家族は、ある日は赤ん坊の命を救い、またある日は精神的ショックを受けている患者の家族とわずかな金額をめぐって喧嘩をする事もあった。当然のことながらルークは、危うさをはらむ彼らの仕事に対して揺れ動く自分の感情とどのように折り合いをつけるかという課題に気づく。


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「最初に救急車に乗った時は、アメリカ人的な善悪の基準で状況を見ていたように思います。アメリカだったらどう行政を動かすかとか。性急になって、オチョア家族を実際に苦境追い込んでいる強大な何らかの力が働いていることを見落としていました。つまり、無意識に持っていた倫理的先入観の要素をまず取り除くことが必要だったんです。」

ルークは3年をかけて数百時間の映像を撮った。翌年の映画祭に出した試作版はある程度の関心を集めたが、もう一つ何かが足りないという評価だった。ここが作品のターニングポイントとなる。「重要な決断でした。完成作としてこれを映画祭に出していくのか、それともこの映画を撮り続けるのか。」ルークは撮り続けることを決断し、プロデューサーと共に再び現場に戻った。「効果的な視点を検討する必要がありました。撮影を始めた頃は、すごく“他者”の視点で見ていて、撮っている世界と距離があったように思います。月日を過ごすにつれて、その距離は縮まり、徐々に信頼関係ができて理解も深まっていきました。」

再び撮影を始めてみると、ルークには心に閃めくものがあった。撮影期間は2週間で、作品の80%は撮り終えていた。「救急車に同乗して冗談を言い合ったり撮影したりしているうちに蓄積されたあらゆる知識が、彼らとお互いに本当の信頼関係ができたと感じたとき結晶化したようでした。撮影初期の頃、彼らはありのままの姿を見せてくれているのだと思っていましたが、実際、2度目は全く違いました。」

当たり前のように思えるかもしれないが、彼の体験は、物語を紡ぐ者にとって内省と共感がいかに重要であるかを示している。「撮影現場には私が学んできた撮影方法の全てを総動員して臨みますが、これまで映画を撮ってきて、ひとつとして同じ手法や思考法を使ったものはありません。人と出会えばそれぞれに違うことを感じ、違うアプローチが生まれます。『ミッドナイト・ファミリー』で、私は長い時間をかけて、これまでに経験したことのない多くの撮影方法と物語の構成について学んだのです。」

ルークは、撮影対象に接するとき、映像アーティストやストーリーテラーが経験する時間のかかる困難なプロセスについても明快に答えてくれた。誰もがぶつかる壁であり、そこで自分に起こる感情をよく咀嚼することが、強力なストーリーを生み出すためには不可欠なのだ。「映画のすべてのシーンが本当に心の底から突き動かされたものとなるよう、また撮影中もそうあるように心がけていました。また、編集においても救急車に乗っていたときの感覚を正確に織り込むように努めました。患者、救急車、病院、警察官、政府が絡み合う弱肉強食の連鎖の中で、身動きの取れないオチョア家族の姿を見つけ出すまでに長い時間がかかりました。こんな腐敗の連鎖のなかで、満足した生活を送れている人なんてほとんどいません。」 「そんな問題は克服できると簡単に言ってしまうような、ある種の個人主義的な考え方を本当に手放すには、たくさんの共感と忍耐が必要です。また、オチョア家族に正義を押し付ける考え方もここでは当てはまりません。問題はもっと複雑で、多くの点で非常に逼迫した状況にあります。私がこの映画で観客に考えて欲しいことは、自分が彼らの立場で、この状況に置かれたらどうするのか?ということです。彼らの仕事は、善悪の間に引かれた細い境界線上にあります。それを理解するまでに長い時間がかかりました。」

こうして完成した作品はご覧のとおり素晴らしい映画となり、サンダンス映画祭でルークとオチョア家族が共に成功を分かち合えたことは特に喜ばしいことだった。「やっとビザが取れたのは、彼らが飛行機に乗る予定の24時間前でした。この映画を信じて、とにかく来てくれたんです。映画祭以前に作品は見せていました。編集前のカットです。修正を求めることもなく、彼らは心から称賛してくれました。そこで、どこが良かったかという質問から話を始め、描きたいことの全てがしっかりとこの映画に込められているかという段階まで突き詰めて行きました。」


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これだけ複雑な社会事情が秀逸なバランスで描かれた映画を見るのは感動的である。まさに現代における称賛すべき人間精神が発揮された作品と感じるが、そこにはカメラがあり、撮影する人がいる。そのカメラワークによって、映像は曖昧さ排除した説得力のある物語となる。ダニエル・ウォルバーが、カーステン・ジョンソンの『Cameraperson(カメラパーソン)』について「これこそノンフィクション映画のあるべき姿であり、思い切った配置、ときには感情的に辛いこともあり得る位置にカメラマンを配し、臨場感ある生きた対話を捉えている」と述べたように、救急車に同乗したルークの存在、つまり、オチョア家族の生活に実際に入り込むことが許されたという事実は、この映画を成功に導いた小さいながらも重要なポイントである。「彼らには伝えたい物語があると感じていました。」ルークは言う。「少なくとも、彼らが自分のことを語れるような状態を提供するように努めました。カメラの前にありのままに存在してくれるかどうかは、実に私たちが築き上げてきた関係性にかかっていました。」

「この物語の大部分で語られているのは善と悪の微妙な均衡で、そのほとんどが悪状況の中で善なる人々が抱える止むに止まれぬ事情にあると考えました。編集でもそこが本当に心血を注いだ部分なのですが、うまくいくかどうかも分からず、神経がすり減るような作業でした。少なくとも彼らを裏切らない作品になったと感じたときは、深い感謝の気持ちでいっぱいでした。多くの上映会を通じて、彼らのおかれている混沌とした状況を知ると共に、彼らが人間的に愛すべき人たちであることを観客に感じてもらえたと思います。」


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    プレミアム・ドキュメンタリー

    バンチ・オブ・アマチュア
    ~わが愛しの映画クラブ~

    解散の危機に瀕した英国最古のアマチュア映画クラブ。愛する映画クラブの存続をかけて奮闘するメンバーたちに思いがけない奇跡が起こる。 ブラッドフォード映画製作所はいかにも英国らしい労働者階級の人々が集まるアマチュア映画クラブだ。今や高齢化の波が押し寄せ、認知症や介護、伴侶との別れなど残酷な老いと向き合いながらも、彼らは映画という夢を追い続けている。一杯の紅茶を飲みながら映画への情熱を語り合う彼らの日々を静かに温かい眼差しで見つめたドキュメンタリー。過酷な現実、孤独深まるデジタル時代においても、空想の世界を描く心の豊かさや他者と分かち合う時間の大切さに気付かされる。

    プレミアム・ドキュメンタリー

    新宿ボーイズ

    新宿歌舞伎町のおなべバー、ニュー・マリリン。そこで男性として生きることを決意した3人のホストをカメラは追った。たくさんのガールフレンドに囲まれモテモテのGAISH。時に見せる冷たい態度が女性の心をくすぐる。ホルモン注射を打ったTATSUは、どのお客さんにも分け隔てなく優しいと人気だ。そしてニューハーフのくみと暮らしているKAZUKI。カメラは、ジェンダー・アイデンティティや性的指向、セックスライフについて率直に語る彼らの姿を映し出す。

    プレミアム・ドキュメンタリー

    イラン式に離婚するなら?

    夫との離婚を実現しようと法廷で闘うイランの女性たちを追った。ジャミラは夫から暴力を受けており、16歳のジーバは38歳の夫との離婚を試みる。マリヤムは娘の親権をめぐって壮絶な闘いを繰り広げる。イランの不条理な司法システムや、夫・家族からの圧力が彼女たちを追い詰める。

    プレミアム・ドキュメンタリー

    ガイア・ガールズ

    1999年。女子プロレス界を賑わせたGAEA JAPANの合宿所に密着する。明日のスターを夢見る3人の新人。彼らを「自分の子供」と呼ぶ大御所レスラー長与千種が、愛の鞭を振るう。

    プレミアム・ドキュメンタリー

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    仏教徒とイスラム教徒という異なるバックグラウンドを持つ2人の助産師。厳しい民族間対立をものともせず、ミャンマー西武ラカイン州の仮設診療所にて、ロヒンギャに医療サービスを提供している。混乱と暴力が激化する中、肩を並べて働く2人の苦闘、希望、夢を5年以上に渡って追った。

    プレミアム・ドキュメンタリー

    ヒットマン・ハート〜レスリング・ウィズ・シャドウズ〜

    1997年。プロレス界を震撼させた「モントリオール事件」。その真偽は25年経った今も明らかになっていない。 マット界の権力抗争に巻き込まれながらも、正義を求めて闘い続けた伝説の男、“ヒットマン”ハートが心の内を語る。

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    ニューヨークはマンハッタン。列車が通る地下トンネルには、地上で行き場を失った者たちが暮らす魔窟がある。この暗闇の中で、辛い過去に葛藤しながらも、人々は光を探している。ある日突然、鉄道会社による強制退去が始まった——。この作品は、トンネルに住むホームレス自らによって制作された。

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    2枚の絵画が何者かに盗まれた。画家は犯⼈を突き⽌めるも、犯人は「覚えていない」の⼀点張り。「あなたを描かせてー」画家の突然の提案から、思いも寄らない2⼈の関係が始まる。

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    広大な自然と野生生物であふれるバカレシュティ湖。都市の中心にありながら人間に忘れられたその場所で、エナカ一家はひっそりと暮らしていた。そんなある日、湖の自然公園化が決まり、家族は街で普通の暮らしをするように強いられる。

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    2022年カタールW杯の開催が迫る。そのきらびやかな表舞台を支えているのは、労働者キャンプで暮らす160万人の外国人労働者。日中は長時間労働をこなし、夜は「労働者の福利厚生策」として設けられたサッカー・トーナメント「ワーカーズ・カップ」で力を振り絞る男たち。仲介会社に騙され帰国もままならず、ごく僅かな給料で食い繋ぐ毎日。そこに小さな光を当ててくれるこの大会を、男たちは心の拠り所にするのだった。

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    ロシア支配下のチェチェン共和国で国家主導の"ゲイ狩り"が横行している。同性愛者たちは国家警察や自身の家族から拷問を受け、殺害され、社会から抹消されている。それでも決死の国外脱出を試みる彼らと、救出に奔走する活動家たちを追った。本作品では、被害者の命を守るため、フェイスダブル技術を駆使し身元を特定不能にしている。

    プレミアム・ドキュメンタリー

    キース・ヘリング 〜ストリート・アート・ボーイ〜

    アート界で国際的なセンセーションを巻き起こしたキース・ヘリングは、1980年代のニューヨークにおける伝説的なアートシーンの先駆者であり、ポップカルチャーとファインアートの世界に革命をもたらした。未公開のインタビューで構成されたこの興味深く真実に迫るドキュメンタリーは、まさにキース自身が語るアーティスト伝記映画の決定版だ。また、キース・へリング財団のみが保有する初公開の記録も含み、過去50年間で最も人々の目を惹きつけた彼の作品の背景にあるワイルドでクリエイティブなエネルギーも映し出している。

    プレミアム・ドキュメンタリー

    ロンドン・エディンバラ・ロンドン

    5日間の忍耐と試練の旅である。ロンドンの中心からイギリス全土を渡り、エディンバラへ。そしてロンドンまで戻ってくる。 彼らのほとんどが、今まで経験したこともない約1400kmの道のりを走行する中、身体と精神の極限まで自分を追い込み、数多くの困難に立ち向かわなければならなかった。

    短編ドキュメンタリー

    『Art of Repair』アート・オブ・リペアー

    コメディアン、スチュワート・リーのナレーションでおくるロンドンのイーストエンドで生きる人々のユニークで感動的なドキュメンタリー。

    短編ドキュメンタリー

    I ♥ NY

    “I ♥ NY”(アイ・ラブ・ニューヨーク)はニューヨークのあちこちで目にするあまりに有名なロゴで、誰かがデザインして生まれたものとは思えないくらいだ。ニューヨークと言えば思い浮かび、観光客やニューヨーカーがこの街への愛を示すシンボルとなっている。

    短編ドキュメンタリー

    ケープ・フラッツ

    ニューヨークを拠点に活動するジェイク・オルセン監督による衝撃的な短編ドキュメンタリー。南アフリカ・ケープタウンのケープ・フラッツで3日間にわたって撮影された『ケープ・フラッツ(The Flats)』は、そこで暮らす住民の生活を探る。

    短編ドキュメンタリー

    スプリンター・ファクトリー

    世界一のスプリント王国ジャマイカで、次の陸上競技チャンピオンを目指して全力で駆ける少女たちに迫る熱きドキュメンタリー。

    短編ドキュメンタリー

    ミスティコ

    イタリア生まれの映画監督カルロッタ・マナイゴは、その魅惑的なスペクタクルに惹かれ、あるルチャドール(ファイター)のマスクの下に潜り込むことにした。人を魅了してやまない男… “ミスティコ”である。

    短編ドキュメンタリー

    その理由

    フロリダの田舎に住む低所得者層が、喫煙によって大切な人を失いながらも、依存症に悩む姿を描いたドキュメンタリー短編映画。クリスティ、エリック、ジェレミーの3人は10代前半からタバコを吸い続け、大切な人を失っているにもかかわらず、収入の25%をタバコに費やし続けている。それぞれやめたい理由があるのだが、やめられない。

    短編ドキュメンタリー

    スノウ・サイエティ

    毛皮のコートやドンペリニヨンのボトルが象徴する雪山の高級リゾート、サンモリッツ。優雅な映像と並んで、大麻樹脂を炙り、ボードを折るほど激しく滑走するスノーボーダーの姿が目に飛び込んでくる。リュディ監督はこの作品について、「サンモリッツをラグジュアリーな面と反社会的な面の両方から捉えることで、二分法で分けられた世界を視覚的に読み解くドキュメンタリー映画だ」と語る。

    短編ドキュメンタリー

    NYC, 1981

    『NYC, 1981』は、ニューヨーク市の治安が史上最悪と言われた時代にフォーカスしたオリジナル短編ドキュメンタリーだ。

    短編ドキュメンタリー

    チェスの魔法(Magic of Chess)

    『チェスの魔法(Magic of Chess)』は、小さなチェス・チャンピオンたちがチェスによって広がる豊かな世界を語る短編ドキュメンタリー。毎年、ナッシュビルでは賞金を懸けたチェス大会が開催される。監督ジェニー・シュバイツァー・ベルは、2019年の小学生部門チェストーナメントを撮影した。映画の中でインタビューを受けるのは、8才のタニ・アデウミ。ナイジェリア難民で、家族とホームレスのシェルターで暮している。ニューヨークのチェス選手権でエリート私立校のライバルたちを打ち負かし、この大会に出場する。

    短編ドキュメンタリー

    カステイー人間の塔ー

    カステイは、カタルーニャの老若男女がお互いの背中や肩によじ登り、構築される人間の塔だ。この慣習は1801年に初めて文化活動として記録され、1980年台に競技へと発展した。2010年にはUNESCOの無形文化遺産に登録され、カステイはカタルーニャの“豊かな文化多様性”や重要性を持つとされた。

    短編ドキュメンタリー

    ラビット・ハント

    フロリダ州エバーグレーズの一部では、20世紀初頭から、若い男性(現在は若い女性)が棒と素早い反射神経だけで砂糖プランテーションの縁辺でウサギを狩る伝統がある。

    短編ドキュメンタリー

    『ガン・ネイション(Gun Nation)』ゼッド・ネルソン

    『ガン・ネイション (Gun Nation)』は、アメリカの自由を表す最大の象徴が、年間約3万人の市民の命を奪う銃であるというパラドックスに迫るドキュメンタリー。 ゼッド・ネルソンの衝撃的な写真集「ガン・ネイション」が発表されてから18年後。アメリカでは銃器によってこれまでに50万人もの市民が命を落とし、負傷者も後を絶たない。ネルソンは当時撮影した人々と再会し、再び彼らの写真を撮りながら、いまだに銃器所持に執着するアメリカの国民性を問う。

    短編ドキュメンタリー

    入浴 ―水との深い関係―

    『入浴 ―水との深い関係― (We the Bathers)』は、世界各地の14人の姿を捉えた美しく心に響く短編ドキュメンタリー。それぞれの人生が“水”をめぐる物語でつながっている。 フィービー・アーンシュタイン監督はこの映画で、入浴という個人的な慣習、そのプライベートな時間に結び付いた心の深淵を探求している。人種差別、うつ病、ホームレス、移民、売春などの社会問題に触れながら、人々が水との関わりによって内省と再生、癒しを得る様子を見つめる。 文化や地域を越えて、人間が水に自身を委ねる行為―入浴―に抱く感情に迫った作品。"

    短編ドキュメンタリー

    ファンガール

    ロサンゼルスを拠点とする映画監督兼フォトグラファーのライザ・マンデロップは、ソーシャルメディアが発達した現代の新しい“推し活”にはまる少女たちに着目した。マンデロップが捉えたのは、人とのつながりをますますテクノロジーに依存していく現代社会の実状だ。不安定な思春期を生きる少女たちは、日々、SNSでフォローしているアイドルに慰めと心のつながりを見出している。

    短編ドキュメンタリー

    ダンベ - エレファントフードは最強の歯のため

    ナイジェリアの伝統格闘技ダンベ、その内側に迫ったドキュメンタリー。ライバル同士の2人の格闘家が闘技場“ダンダリ”での対決に臨む姿を、臨場感あふれるカメラワークとカラング太鼓の音にのせてミュージシャンのユスフ・ムサが奏でる「語りの歌」で綴る。アフリカン・コミュニティの祝祭と闘争、信仰と神秘、美しさと勇猛さに惹きつけられる。

    短編ドキュメンタリー

    タングラス ― 地獄のペット ニワトリ―

    ある日、ムンバイで暮らす家族の小さなアパートに、父さんが一羽のヒヨコを買って来た。

    短編ドキュメンタリー

    ロケット戦争

    「ロケット戦争」のルーツは数世紀に遡る。この地域の聖マルコ教会とパナギア・エリツィアーニ教会2大教区の住民が手作りのロケット花火を打ち上げる祭りだ。近年、ロケット花火の数は数千発にものぼり、復活祭の春の夜空を飛び交う光景はまさに壮観である。

    短編ドキュメンタリー

    『IVRY』(アイブリー)

    『IVRY』(アイブリー)は、青年アイブリー・ホールの人生に迫ったドキュメンタリー映画だ。彼はシカゴのサウスサイドでボクシングに励み、近所の子供たちの指導もする。映画の中で、アイブリーはボクシングジムに通う一人の少年イライジャに語りかける。ともすれば道を踏み外しそうになる荒んだ環境で、正しく生きるための知恵と人生の教訓を諭す。いくつものタトゥーを持ち、12歳の頃から何度も刑務所に入れられた。昔の仲間が生きる道を誤り、命を落とすのを何度も見て来た。これが、この地区(シカゴ近郊のイングルウッド)に暮らす若者たちの常だ。しかし、アイブリーは「そんな環境に打ち勝たなければならない。自分の内面を深く見つめること。自分で道を切り開くんだ」と饒舌に語る。

    写真集

    『Hessle Road』アレック・ギル

    写真家アレック・ギル(75歳)は、1971年にイギリスのキングストン・アポン・ハル市にあるセントアンドリュース漁港を撮り始めた。それ以来、この町のヘッスルロード地区にカメラを向け続けている。ギルは自らを称して“わが町を旅する人”そして斜陽の差す漁港の歴史を記録する“偶然の目撃者”だと言う。数十年に亘って、この地域とそこに住む人々を6,630枚にも及ぶ写真に捉えている。ギルはハル市の旧市街に生まれた。1960年代には海運業や運送業の仕事に就いたが事務仕事に向かず、よく旅へ出て写真を撮っていた。

    写真集

    ストリッパー図鑑

    原芳市は1975年以来、ストリッパーの肖像を撮り続けてきた。その数は1,500枚以上にのぼる。写真集『ストリッパー図鑑』は、原のライフワークの原点を飾る一冊である。

    写真集

    『Soho』バリー・ルイス

    1990年までのソーホーは、地域の高級化と家賃の値上がりによりエキゾチックな雰囲気が急速に失われつつあった。そこにゲイコミュニティが到来し、“ピンク・マネー”と言われる彼らの経済力によって以前の活気を取り戻し、幾分か時代の変化が緩やかになった。

    写真集

    『Facing New York』ブルース・ギルデン

    ブルース・ギルデンの路上劇場の登場人物には破天荒な面々が揃う。安っぽい派手さを身にまとい、世間離れしている。そして多くの者がミステリアスだ。ギルデンとニューヨーカーの関係は、互いに「ご近所さん」のようなもの。明白でシンプルな言葉、そして豊かな表現力で、独特の個性を放つ自称「ニューヨークのはぐれ者」たちの姿を、ギルデンはとらえてきた。彼の世界では、誰1人としてステージの片隅にいる者はいない。全員がスターなのだ。

    写真集

    アイリッシュ・トラベラー

    ミンキアは、アイルランドの伝統的な移動少数民族であり、アイルランド政府や定住民は彼らを“アイリッシュ・トラベラー”と呼ぶ。“ミンキア”とは、彼ら独自の言語であるキャント語(符牒)またはギャモン語で、「アイルランド移動民族のコミュニティー」を意味する。

    写真集

    『Street Cops』ジル・フリードマン

    混乱の時代を捉えた写真家の中でも最も重要なドキュメンタリーフォトグラファーの1人、ジル・フリードマン。彼女は人生をかけて複雑な社会状況を撮影し、誠実で芸術的な作品に昇華したストリート写真家だ。社会の片隅に暮らす人々に寄り添いながら、何か月も共に過ごして日常を記録した。

    写真集

    ダニエル・アーノルド

    ブルックリンを拠点とする写真家。街を毎日8〜12時間歩き回っては人々の写真を撮り、文句を言われる前に猛スピードで立ち去る。こうして、ニューヨーカーのプライバシーに風穴をあけるストリートフォトを撮り続けている。アーノルドは“変人のように一人で街をぶらついた”後、撮りためた沢山の写真の中からキラリと光る人間味あふれる瞬間を拾い上げる。彼の写真の躍動感は決してスタジオで再現できるものではない。ビル・カニンガムがユニークなファッションのスナップ写真を片っ端から撮り続けたように、アーノルドは日常のあちこちで絶え間なく営まれる人同士のふれあいがもたらす瞬間を、目にとまる限り残らずカメラに捉えようしている。

    写真集

    マーク・ネヴィル

    イギリス人アーティスト、マーク・ネヴィルは、アート、アクティビズム、ドキュメンタリーの交差点で活動し、写真の社会的機能を探求している。彼の写真プロジェクトは、被写体にとって直接的で実用的な利益をもたらすことを目的とし、地域社会と密接に関わりながら進行する。

    写真集

    『サブウェイ』ブルース・デビッドソン

    ブルース・デビッドソンの名作品集『サブウェイ』は、1980年代のニューヨーク・シティの様子を、極めて直感的に記録したものである。

    写真集

    『I Can Help』ポール・リース

    スーパーの店員がつけているバッジからとったタイトル「I Can Help」は、イギリス産業革命後の消費ブームをテーマにした、30枚の大型カラー写真シリーズだ。リースはスーパーマーケットのサブカルチャーを鋭く観察し、日常的なシチュエーションに純粋なストーリーを見出した。

    写真集

    ノグチ・シン

    ノグチ・シンは、1976年東京都新宿区生まれ。鎌倉と東京を拠点に活動し、数々の賞を受賞しているストリートフォトグラファーです。彼のストリート写真は、日常生活の流れの中にある興奮、ヒューマニズム、美しさの特別な瞬間を捉える試みであると説明する。控えめで、詩的で、謎めいたアプローチで、演出された写真やノーファインダー、ヒップショット写真に頼ることなく、日本文化の繊細さと複雑さを捉えることができる。

    写真集

    大衆演劇

    大衆演劇場に足を踏み入れると、ワイルドで華々しい秘密結社に潜入したようにワクワクする。奇抜な衣裳を着た役者が舞台で踊れば、ファンたちも大喜びで一斉に立ち上がり踊り出す。どういうわけか、全員が振付けを知っているようだ。盛り上がったファンは、タイミングを見計らっては舞台に駆け寄って金封やプレゼントを渡したり、通路に飛び出してペンライトを振ったりする。まるで、アイドルのコンサートに来た若者たちのようだが、劇場に来ている女性たちの多くは10代の子どもを持つ親世代だ。

    写真集

    甲斐扶佐義

    日本の写真家 甲斐扶佐義は、人生を賭した作品の多くを火事で失い、生きる気力を失くしていた時期があった。しかし、活気ある時代と彼の驚くべき経歴がにじみ出る一連の作品は今でも見ることができる。

    写真集

    『The Last Resort』マーティン・パー

    フォトグラファーのマーティン・パーがイギリスの海岸を撮影した秀逸な写真は、1983~85年にニューブライトンのリバプール・ビーチ・リゾートを訪れた時のものだ。パーの得意とする飽和色を配し、廃れた街の“一時代”を皮肉なユーモアをまじえて写し出す。ゴミだらけになったリゾート地ニューブライトンの舗装された遊歩道が、英国経済の衰退と社会状況の悪化を暗示している。

    写真集

    『Heart of Darkness - Kowloon's Walled City』グレッグ・ジラード

    1993年まで香港には魔窟と呼ばれる建造物があった。九龍の小さな区画にビルが密集してそびえ立ち、ジャングルの樹冠のように連なって大きな1つの要塞を形成していた。高さは14階にも延び、壁面は何百もの小さなアパートや店舗の蛍光灯で光り輝いていた。内部には学校や作業場、診療所、工場もあり、祈りと娯楽、享楽が詰まったこの場所に35,000人以上の住民が重なり合って暮らしていた。

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    『Bus Odyssey』トム・ウッド

    この写真集は、トム・ウッドがリバプールの街を走る路線バスから20年かけて撮影した写真で綴られている。