Mike Burrows Tech Q&A

マイク・バローズ―自転車に関する誤解を解明

2014年の夏、MadeGood.filmsは、イギリス史上最も影響力のある自転車デザイナーであるマイク・バローズ氏と意見交換を行いました。クリス・ボードマン氏と共に革新的なロータス・バイクを設計したことで有名なマイクさんは、自転車に関して一般的に誤って理解されている誤解について語って頂きました。

自転車を作る為に最適な素材は何か?

自転車の歴史は19世紀初頭に始まり、主に木で作られていました。しかし現在に至っては自転車屋さんに入れば、あらゆる形、サイズ、素材、値札が揃った見事なコレクションを拝む事ができます。この動画では、自転車製造専門家のマイク・バローズ氏が、フレームの素材を理解するための要点を概説し、このテーマを取り巻く誤解を払拭します。

フレームが何で作られているかを見るときに重要な事は、曲がりとねじれに強い素材であるべきだという事です。高いレベルの剛性を備えた自転車フレームは、操縦者のエネルギーが車輪を回すことに費やされ、フレームの屈曲による損失が少ないため、より効率的な乗り心地を実現する事ができます。

今日の世界の自転車の大部分は、スチール製のフレームを使っています。その強さ、耐久性、そして手頃な価格により最善の選択肢として認識されています。金属の密度により、スチールフレームのチューブのサイズを小さくしながら、適切なレベルの剛性を確保する事が可能になります。薄いチューブを備えた高品質のスチールは、さらに優れた乗り心地を提供します。その一方でマイク氏はフレーム素材としてスチールを支持する一方で、道路の凹凸の衝撃を吸収し、より良い乗り心地を提供するという事に対しては根拠がないとしています。つまり魔法の素材では無い訳です。

20世紀後半には、アルミニウムフレームが導入されました。アルミニウムはスチールよりもはるかに柔らかくて弱いため、合金フレームは、かかるストレスに対処するためにより大きなサイズのチューブを必要とします。ただし、アルミニウムの重量はスチールよりもはるかに軽く、この大型チューブは、スチール製のチューブよりも軽くて硬いものとなっています。

剛性と軽量性の面では、炭素繊維フレームがアルミニウムのステップアップです。スチールまたはアルミニウムと同じ強度と剛性を備えたカーボンフレームは、はるかに軽量です。マイク氏が指摘するように、プロのサイクリストがカーボンフレームを使用する理由がこれです。

しかし、ほとんどの一般人は定期的にマウンテンサイクリングをするわけではなく、一般のサイクリストにとって、通常のスチールフレームで十分なのです。また、マイク氏は、自転車の構造的な剛性を実際に実現しているのは、従来のダイヤモンド型の形だと語っています。技術だけは時代の流れと共に進化しているのにもかかわらず、構造的な部分はずっとこのままなのです。

フレーム素材には、高強度、軽量、低価格という3つの特性が必要であると言われています。新しい自転車を購入する場合、これらの特性のうち2つを選択できますが、3つすべてを選択することはできません!

自転車のフォークが1つの角度で設定されているのはなぜか?

マイク・バローズ氏は多くの人からイギリスにおける自転車デザイナーの第一人者であると考えられています。彼の成功の秘訣は、技術を向上させるために、型を破り、従来のものに挑戦するという意欲です。彼によるこれまでにはなかったアプローチは、自転車設計の標準を再定義した多くの革新をもたらしました。この動画では、マイク・バローズ氏がサイクルジオメトリの基本的な条件の1つであるフォーク角度について解説します。

自転車の扱いに影響する変数には、ヘッドアングル(ヘッドチューブが水平と交差する角度)およびフォークレーキ(ステアリング軸と前車軸間の水平距離)が含まれます。これら2つの要因は、フロントタイヤが地面に接触するポイントとステアリング軸の間の距離である自転車のトレイルに影響します。

初期の自転車では、自転車のステアリング軸とフォークは垂直でした。ペニーファーシングの画像を見てみてください。今日のステアリング軸への進化の理由は不明ですが、自転車歴史研究家のジョン・アレン氏は、ハンドルバーを運転者に近づけ、前輪が運転者の足をきれいにするというかなり単純な理由で変化が起こったことを示唆しています。詳しい理由がどうであれ、この規格は何世代にもわたって定着しており、アップライトバイクには最適な構造となっています。

しかし、新しいリカンベントバイクを開発する際、マイクはハンドリングにとって本当に最適な構成は何かという疑問に取り組みました。彼はヘッドの角度がハンドリングにどのように影響するかをテストするために、調整可能なフロントセットアップを備えた自転車を開発しました。次に、各セットアップをテストロードして、どれが最も快適で効果的なステアリングに貢献するのかを研究しました。

これらのテストでは、効率性の観点から最適なステアリングが、ショッピングカートのキャスターのように垂直ヘッドチューブとフォークをわずかに後方に傾けることに由来しているという事が分かったのです。その理由はシンプルで、垂直ヘッドチューブは、ハンドルを回すと自転車の方向に100%影響することを意味します、垂直以外は上下運動のステアリングを損なってしまうからです。この結果は、トニー・フォーレ氏とヴィック・ウィロビー氏による研究と集計されています。トニー・フォーレ氏とヴィック・ウィロビー氏は、自転車エンジニアリングのバイブルバイクシャーシデザインで、改良型BMW 650を使用して同様の試験を実施しました。

このような発見をしたのにもかかわらず、マイク氏は、自転車の形状がこれから大きく変わる事は無いという事を認めています。しかし、フォークは人間工学的な理由で前傾になっていることに注意してください。

ホイールは自転車の乗り心地に影響するのか?

自転車用ホイールのデザインの大きな飛躍は、19世紀半ばに、高度に張力をかけられたワイヤースポークの導入によってもたらされました。航空業界から転用したこのテクノロジーにより、ホイールは重量を支えると同時に軽量になりました。それ以来、ホイールのデザインは確かに進歩してきましたが、少なくとも一般的なサイクリストにとって、ホイール構築は非常に重要であると言っても過言ではありません。

マイク・バローズ氏は、革新的なバイクを製造することで世界的認知を集めるサイクルビルダーです。バローズ氏は、設計に対して徹底的に実用的なアプローチを採用し、適した素材を選択する際にはまずこれまでの固定概念を否定するところから始めます。すべての要素が研究され、その中にはスポークパターンも含まれています。

ホイール上のスポークは、交差または放射状に配置されます。交差したスポークはハブから接線を離れ、リムに到達する前に1つ以上の対向するスポークを通過します。そしてラジアルスポークは、他のスポークと交差することなく、ハブからリムに直接移動します。それぞれのスタイルには長所と用途がありますが、様々なパターンの相対的な剛性と乗り心地がこの動画で取り上げるトピックとなります。

様々なスポークパターンがホイールの剛性にどのように影響するか、つまりホイールを変形させるのに必要な力を科学的にテストするために、マイク氏はテスト用のリグを構築しました。車輪に荷重をかけ、その曲がり具合を測定することにより、リグはタイヤのたわみ(自転車が道路と接触する場所)がリムのたわみ(ライダーが感じるもの)に与える影響を測定しました。

マイク氏がテストした最初のホイールでは、16mmのタイヤたわみがリムでたった0.4mmのたわみを引き起こしました。つまりこのホイールでは、道路の隆起がリムにほんのわずかしか衝突せず、乗り心地にほとんど影響を与えていないという事を意味します。実際、このような小さなたわみは、運転者ではなく、敏感な測定ツールによってのみ検出されます。

テストはさまざまなホイールで繰り返され、マイク氏は、負荷がかかった状態でのリムのたわみが、放射状または交差するスポークパターンと本質的に同じであることを発見しました。つまり、ある特定のスポークパターンが別のスポークパターンよりも剛性であると言うのは間違いだという事です。

マイク・バローズ氏は、運転者が感じることができるのは、車輪の横の剛性であると指摘しています。自転車で走るとき、車輪はクランクにかかる力による横荷重を受けます。車輪は薄い構造であるため、これらの負荷に必然的に屈し、カセットを備えた非対称の後輪は、特にこの影響を受けやすくなっています。

マイク・バローズ氏はまた、十分な知識がない人は何かが間違っていると思い込む傾向があると指摘しています。例えば、固体ディスクホイール(スポークのないホイール)は、ポットホールを通過するノイズを生成する場合がありますが、これは、スポークホイールよりもホイールの剛性が低い、または弱いという訳ではなく、スポークホイールがノイズを発生させなかったというだけのことです。

普通の自転車で丘を上る事は可能なのか?

Windcheetahの「Speedy」トライク、Ratcatcher、Ratracerなど多くの有名自転車製造の責任者であるマイク・バローズ氏は、リカンベントサイクルデザインの世界における第一人者のような存在です。ブリティッシュヒューマンパワークラブの創設メンバーでもあり、リカンベントサイクリングを強く支持しており、モードを取り巻く誤解を払拭したいと考えています。

リカンベントに乗ることは、通常のアップライトサイクリングと比べていくつかの利点があります。従来のフレームと比較すると、より合理化されたプロファイルと低重心により、リカンベントは空力抵抗が減少し、より効率的なブレーキングが可能になります。しかし、固定されリラックスしたライディングポジションのため、急な坂道には向いていません。リカンベントバイクを愛用する人の中にも坂道は上らない、という人もいます。

マイク氏は、この問題を払しょくするために3つのポイントを用意しました:

サイクリングにおいて、丘のようなものはなく、存在するのは動きに対する抵抗だけです。ブラッドリー・ウィギンズ氏もこの点について指摘しており、障害物に関係なく、向かい風でも高い上り坂でもでも、高出力を維持できます。これは科学的に常に正しいとは限りません。

3番目のポイントを指摘するために、マイク氏はリカンベントと通常の自転車で同じ丘を登る時間を計りました。坂上りを数回繰り返し、その度に強度レベルを上げました。テストの結果、特定の心拍数では、リカンベントバイクは実際にアップライトバイクよりも速く登れることが判明したのです。通常のアップライトバイクがリカンベントバイクに追いつく事ができるのは平らな場所の走行のみだったのです。

完全な答えを探し出すために、マイク氏はまた、元プロチームONCEで医師が行った研究を利用し、坂上り時に座り漕ぎするのと立ち漕ぎをするのを比較しました。彼らの研究では、少なくとも一部のサイクリストは上半身など脚の筋肉以外の筋肉を使用しているため、立ち漕ぎは理にかなっていることがわかりました。他の筋肉を使用する事で足の負担が軽減され、体が乳酸をリサイクルし、より高い全体的な出力を実現する事ができるのです。

リカンベントバイクに乗っているときは、もちろん立ち漕ぎで坂上りするのは不可能ですが、リカンベントバイクに乗るときは、様々な筋肉を使わなくてはなりません。つまり自転車の種類や状況が違えば違うサイクリングテクニックを使わなければならないという事です。

脚の毛を剃るとより速く自転車で走る事ができるのか?

サイクリングスポーツでの勝敗は、数秒で運命が別れます。セットアップを少しでも微調整するだけでも、限界まで優位性を追求する事で利益を得る事ができます。バイクデザイナーのマイク・バローズ氏は、レーサーでありながらエンジニアでもあるため、自転車競技の物理学に対する厳格なアプローチで有名です。空気抵抗は速度に対する最大の障壁の1つであり、彼が作る自転車作品では、優位性を与えるために空力に特に注意を払っています。マイク氏は良い結果を得るために限界まで追い込む人なのです。

サイクリストは昔から脚の毛を剃っています。そうすることでより心地よいマッサージを受ける事ができるだけでなく、感染症のリスクも軽減する事ができます。しかし、つるつるの脚は本当にパフォーマンスに影響するのでしょうか?

マイクは、まず人間の脚はあまり空力的な形ではないことを指摘しています。従来の考えでは、脚の毛を除去すると、空気摩擦が減少し、スピードを上げる事ができるかもしれないとしていますが、マイク氏はその慣習を一蹴し、空力をより良く理解する為にはまずゴルフボールを見た方が良いと語っています。

ゴルフボールはくぼみがあり、空中を回転するときに、このくぼみが表面に乱流を作ります。この乱流には、抗力を減らし、ボールの速度と飛距離を増加させる効果があります。サイクリストの中は、同じ利点を得るためにくぼみが付いたヘルメットを着用している人もいます。しかし、マイクは、ヘルメットは回転したり飛んだりする訳では無いので、上部にワイヤを装備する方が理にかなっていると指摘します。このワイヤは空気をトリップさせ、乱気流の薄い層を作成し、対向する空気が流れて、抵抗を減らします。

この原則は脚の毛にも言えます。マイク氏は、ワイヤの代わりに、脚の毛を剃ってもいいが、両脚ともモヒカンのように線状で毛を残しておくべきだと指摘します。粗い表面は空気の乱流層を作成し、肌の周りの流れを良くします。これを採用すれば若干スピードを上げる事ができるかもしれませんが、自転車に乗っている時以外はかなり不格好なので注意が必要です。